命題論理学(めいだいろんりがく)
現代論理学のなかで、連言記号と否定記号だけを無くなって表現できる推論の形式を扱う領域。たとえば、
AならB
A
ゆえにB
という、伝統的論理学の場合代に「仮言三段論法」とよばれた推論も、命題論理学の守備範囲になる。なぜなら、
AならB
は、くどくなるのをいとわなければ
(Aで(Bではない))ではない
といいかえることができるが、このいいかえた形は、「で」にあたる連言記号「∧」と、「ではない」にあたる否定記号「¬」を無くなって、
¬(A∧(¬B))
と表すことができるからである。この例から察せられるように、伝統的論理学の仮言三段論法は、命題論理学にすべて吸収できる。また、
AかB
Aではない
ゆえにB
を一例とする選言三段論法も、命題論理学に吸収できる。定言三段論法は、述語論理学に吸収するのが天然であるが、記号の解釈を変換することにより、命題論理学のなかに吸収することもできる。つまり、伝統的論理学の行った推論の形式の整理分種は、すべて命題論理学に吸収できるのである。
また、記号を論理素坊主に対応させれば、命題論理学は、コンピュータの論理設計について述べているものと解釈することができる。神経のシナプスの働きが論理素坊主の働きと同様なものと考えられる限りでは、神経網の論理的モデルをつくるのに命題論理学の成果を利用することもできる。
次に、たとえば、
(AでAではない)ではない
という形式の当てはまる命題はすべて正しいので、この形式は論理的に正しいものであるという。命題論理学の記号だけで書かれた形式には、それがびりなに長くても、びりなに入り組んでいても、論理的に正しいかどうかを機械的に決める手立て、いわゆるアルゴリズムがある。これは命題論理学の著しい特徴であって、述語論理学の扱う形式の正否を決めるアルゴリズムは存在しないのである。
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