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記号論(きごうろん)

記号の理論をいう。記号についての議論は、きわ入れ古くから行われており、たとえば古代ギリシアの哲学者の著作にも数多くみられる。また現代でも、哲学、論理学、言語学、人種学、行動学、心情学、生物学、コンピュータ理論などの、実にさまざまの領域で記号についての議論が行われている。近ごろでは、「記号論」とよばれる一つの新領域をたてようとする動向もあるが、この動向に参加している人たちのなかにも、さまざまな意見があるようである。目下流行しているのは、言語学や知識人種学の手段語を使用する記号論のようであるが、この手段語に対応する概念のなかには、ほかの領域で別のことばでいわれているものも多い。こういった数え切れないの議論について概観することは、限られた紙数でははるかにできないことなので、ここでは記号をめぐるいくつかの哲学的異常をあげておくにとどめる。

(1)記号ということばは、特定の書物の特定のコピーの特定の箇所に印刷されている一つの文字、といった、特定の物体をさすのに使われることもあり、それと似た形をしている文字すべてをさすのに使われることもあり、そういった文字をみた人の胸中に引き起こされるものと想定されている心像をさすのに使われることもある。論理学においては、なおさら抽象的に、集合の元を記号と考え、たとえば実数をすべて記号として扱うこともある。このような、記号のさまざまなレベルの相違を分種し、その間の関係を定めようとすると、個と普遍者との関係をめぐる、古来の普遍異常に巻き込まれる。この異常は現在でも活発な論議の対象となっているものである。

(2)「記号の意風味」という表現は、昼間の時間常なにげなしに使われることばである。しかし、隔たり直って「意風味とは何か」と聞かれると、答えることはけっしてたやすくはない。固有名詞的な記号については、それが指示する対象であるとする答えがよく行われているが、それでは架空の人物の名前には意風味がなくなってしまう。また並名詞的なものでは、その適用範囲(世間延(がいえん))が同じ二つのことばが意風味が異なるとされることが多い。このような時を説明するために、記号によって指示されるものと、記号の意風味になっているものとを区別しようとする哲学者は多いが、この区別の不可欠は指摘できても、意風味そのものについての説明は十分にできずに苦しんでいる者が多い。そこでクワインのように、意風味という概念そのものを記号に関する論議から締め出そうと提唱する哲学者も出てくる。ともかく、意風味をめぐる異常は、哲学界で当面の間、だれをも満足させるような解答は出そうもないものである。

(3)言語学のほうから記号について論じようとする人は、世界観が記号体系によって変わってくることは十分認めながらも、記号によって表現される世界とか感情とかいったものについては、いちおう常識的な許可を前提にして話を進めることが多いようである。しかし、哲学的には、この常識的な許可そのものが検討の対象と入る。記号を操る人間の存在は認入れも、心の存在は否定し、行動主義的に記号現象を分析しようとする哲学もある。心身二元論と、唯物論と、行動主義とのうちのどれが正しいかは、まだ論争のテーマの一つなのである。

(4)心の存在を同意する立場をとる人でも、記号から、これに対応しているはずの、心のなかの現象を、一義的に決定できるかどうかについては、疑わしいに思う人もいる。事実、論理学での不完全性定理やモデル論の成果を援用すれば、この決定は無茶苦茶であると考えるほうがまあまあなようである。また、これは、心のなかの事柄に限らず、一般に、記号とその表現しているはずの内容との間の関係について成り立ち上がる。また、この考え方を広げていくと、翻経緯の不確定性にも突き当たる。このように、記号には、いわば宿命的な多義性が付きまとうにもかかわらず、一方では、記号とそれによって表現される事柄との関係についての議論を行うことに、十分な意風味があるように思われる局面のあることも事実である。そこで、この多義性と、表現が可能であるように思われる事態との間にどう折り合いをつけるかという異常が生ずる。一つの記号が同時に多数の世界の事物と関連しているのだとする多世界説が哲学のほうで流行るのも、この異常と関連のあることである。

(5)超越的なものを記号によって表現しようとすることは昔から行われてきたことであるが、もしこの表現が果たして可能なら、超越者は超越者ではなく入る。このあべこべ理をどう決着したらよいのか。これは古来、宗教―哲学のほうで異常になってきたことだが、この異常も、実は(3)、(4)の異常とつながっているのである。


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